流木を水槽に入れると自然に近いの雰囲気を作りだすことができます。
特にネイチャーアクアリウムでは欠かせないものではないでしょうか。
一昔前まではアクアリウムや爬虫類の専門店に行かないと購入することができませんでしたが、
今ではホームセンターでも購入することができるようになり、手軽に使えるようになりました。
さて、そんな流木ですが水槽に入れる前にアク抜き作業が必要となります。
今回はアク抜きが必要な理由や、そのアク抜きの方法を説明していきたいと思います。
流木のアク抜きが必要な理由
そもそも流木のアク抜きは何故必要なのでしょうか?
これにはいくつか理由があります。
水が茶色く濁る
流木にはフミン酸やフルボ酸が含まれ、これらが水に溶けだすことにより水が茶色くなります。
この茶色い水のことをブラックウォーターと呼びますが見栄えが悪くなり、鑑賞としては不向きになります。
ブラックウォーターは水質を弱酸性に傾ける性質があります。
弱酸性の水質は多くの熱帯魚が好む環境なので、魚のことを考えると必ずしもアク抜きが必要とは限りません。
とは言ってもやはり見栄えが悪いと折角の水景も台無しになってしまいますよね。
なので鑑賞目的であればアク抜きをしてから水槽にいれるのが一番だと思います。
拾ってきた流木には危険がいっぱい
外で拾った流木には生き物に悪影響を与える成分が付着している可能性があります。
最悪の場合、流木に浸み込んでいた洗剤などの有毒な成分が溶け出し魚が死んでしまった!なんてこともあります。
また害虫や害虫の卵が付着していて、水槽に入ってしまうこともあるでしょう。
それらの有害物質を事前に取り除く為に、アク抜きが必要となります。
特に拾ってきた流木については害虫や細菌駆除の為、煮沸をする方法のアク抜きがオススメです。
海で拾った流木には注意が必要
海で拾った流木には塩分が含まれています。
塩分は通常のアク抜きでは簡単に抜けないので、海で拾った流木を使いたい場合は塩抜き処理が必要となります。
塩抜き処理は通常のアク抜き以上に時間と手間が掛かるので、海で拾った流木を水槽にいれるのはオススメしません。
それでも海で拾った流木を使用したい場合は念入りに塩抜き処理をしましょう。
塩分が水に大量に溶けだすと淡水魚は簡単に死んでしまいます。特に水草は塩に弱いので簡単に枯れてしまうので注意が必要です。
アク抜きの方法
アク抜き作業を実施する前に流木を良く洗い、タワシや高圧洗浄機等で土や汚れを落としてください。
・真水につける
・重曹(アク抜き剤)を使う
・熱湯に入れる
・煮沸する
では一つづつ説明していきます。
真水につける
この方法はもっとも簡単ですが、アクが抜けるまでに他の方法と比べ時間が掛かる方法です。
1.容器に水を入れ流木をその中に入れます。
流木が浮いてしまうことがあるかと思いますが、何日かすると流木が水を吸って自然に沈むはずです。どうしても沈まない場合は重りを使って沈めましょう。
2.1日たつと水が茶色くなるので、古い水を捨て新しい水を入れましょう。
アクが抜けるまで、水の交換を毎日繰り返します。
何日か繰り返していると徐々に水が濁らなくなってきますが、アクは完全に抜けきることはありません。
2週間~4週間かけてアク抜きし、濁り具合をみてアク抜きを終わらせましょう。
重曹(アク抜き剤)を使う
流木のアクはアルカリ性の水に溶けだしやすいという性質があります。
その性質を利用して、重曹で水をアルカリ性にしアク抜きしようという方法です。
ちなみに市販のアク抜き剤の成分はほとんどが重曹なので、わざわざアク抜き剤を買う必要はないと思います。
安価で量の多い重曹を代用品としてオススメします。
またアク抜き後の流木を生体のいる水槽に入れることを考えると、食用グレードの重曹を使用したほうが安心です。
1.水1Lに対して重曹5gの重曹を溶かします。
10Lの場合は重曹50g使用します。
一度に溶け切らないこともありますが、時間がたつと徐々に溶けるので問題ありません。
流木が大きい場合は少し多めに重曹を入れると効果が大きくなります。
※アク抜き剤を使う場合は製品の使用方法に従って行ってください。
2.4~7日ほど放置します。
3.重曹の溶けた水を捨て、流木をよく洗いましょう。
この時の流木にはアルカリ成分が浸み込んでいるので、次の手順でアルカリ成分を抜く必要があります。
※アクが抜けきらず濁りがひどい場合は手順1~3を繰り返します。
4.水道水に4~7日ほど漬けます。水は1日1回交換してください。
5.流木からアルカリ成分が抜けきったらアク抜き作業完了です。
pHメーターを持っているようなら、流木を水に漬けてしばらくして水質の変化を確認しましょう。
pHがアルカリ性に傾かなければアルカリ抜きも完了です。
熱湯につける
沸かした熱湯に流木を付ける方法です。
保温性の高い容器を使い毎日お湯を交換すると効率良くアク抜きできます。
1.保温できる容器に流木を入れ熱湯を注ぎます。
2.1日経過したらお湯を捨て、再び熱湯を入れましょう。
この作業を1~2週間おこないます。保温容器はなんでも良いのですが発泡スチロールやバケツを使い、大きなタオル等を巻き付けてフタすると効率よく保温できます。
作業をするときは火傷に気を付けてましょう。
熱湯が入った状態で容器を運ぼうとすると、容器が壊れた時などに火傷することがあります。
煮沸する
鍋で流木を煮る方法です。
かなり早くアク抜きをできる方法でお勧めですが流木が大きい場合、鍋に入りきらないというデメリットがあります。
流木を鍋に入れ1~2時間ひたすら煮ます。
長時間煮すぎると流木の表面が崩れてしまう事があるので注意してください。
色々な方法を掛け合わせる
アク抜きは紹介した方法を掛け合わせて実施するとより効果が高くなります。
特に重曹を入れ煮沸する方法がオススメですよ。
私は(煮沸+重曹)+熱湯(アルカリ抜き)の組み合わせでアク抜きしています。
最後に
アクは完全に抜き切ることはできないので、どうしても水が茶色く濁ってしまうことがあります。
ほとんどの場合は定期的な水槽の水換えを行うことで濁りを軽減できますが、
アク抜きを行っても濁りがひどい場合は、アクを吸い取り濁りを抑えてくれる「ブラックホール」という製品もあります。
「ブラックホール」はかなり吸着効果が高くアク抜きをしていない流木をそのまま水槽に入れることもできます。
アク抜きも手間のかかる作業ですので、こういった製品に頼るのも一つの手段ではないでしょうか。
では良いアクアリウムライフを!